キングスバーンズはスコットランドのローランドにありファイフ海岸からほど近い小さな村でキングスバーン蒸留所があります。
ファイフ海岸にはキングスバーンズ・ゴルフリンクがあり、その美しさは「死ぬまでに行きたいゴルフ場」にも入っている美しさだと言われています。
そのゴルフ場でキャディーをしていたダグラス・クレメントが思いつきで始めた蒸留所でした。
目次
資金難で苦労した蒸留所
キングスバーンは2014年に設立されましたが、非常に苦労の多い蒸留所の1つです。
蒸留所の開設には現在の価格で約2.5億円にものぼる資金が必要で、ゴルフキャディーの仕事をしていたダグラス・クレメントには準備することができない金額でした。
しかし、ダグラス・クレメントにはキャディーをしながらも裕福なゴルファの名刺を大量に持っていたことから、ゴルファを頼りに資金を募ることにしたのです。
それでも十分な資金は得れず、スコットランドからの補助金やクラウドファンディングなどを実施したものの蒸留所の開設には至りませんでした。
ファイフの名家が名乗りを上げる
最終的にはキングスバーンズの近くに広大な土地を保有していたウェミス・モルツ(Wemyss Malts)に事業譲渡され、キャディーのダグラス・クレメントは取締役として残り、1年半ほどで蒸留所が完成しました。
ウェミス家は600年以上も続く名家でウイスキー作りに深く携わり、所有している広大な土地を利用して、ウイスキーの原料となる大麦や小麦を栽培し様々な蒸留所に提供していました。
日本では殆ど入手できませんが、ウェミス・モルツはキングスバーンズとは別に、ブレンデッドウイスキーなども造っています。
貴重なローランドシングルモルト
スコットランドは17世紀初頭に重税から逃れるために、多くの蒸留所が山間部で隠れやすいハイランドに移動したため現在においてもローランドには蒸留所が非常に少ない地域なのです。
偶然ながらもそこに蒸留所ができたキングスバーンズ蒸留所でした。
キングスバーンズの特徴
キングスバーンズはDream to Dram、シェリー樽で熟成させたバルコミー(Balcomie)、2021年限定のボトルの3種類があります。
キングスバーンズのボトルは美しいデザインで特徴的なワッフル模様がキングスバーンズのウイスキーが輝いて見え、ロゴにもある鳥もボトルに刻まれており手間のかかったボトルな事が伺えます。
Dream to Dram テイスティングノート
種類 | シングルモルト |
原産国 | スコットランド スペイサイド |
色 | 薄い黄色 |
香り | パイナップル、新鮮なバナナ、トロピカル、モルティ |
味わい | モルティ、バニラ、ハチミツ、シナモン、キャラメル、ややオイリー |
フィニッシュ | シナモン、ややタフィ |
樽 | バーボン樽、STR樽 |
度数 | 46度 |
容量 | 700ml |
価格 | 5000円台 |
その他 | ノンチルフィルタード、ノンカラー |
Dream to Dramの味わいと飲み方
長年、ウイスキーを作ることを夢にしてきたウェミス家やダグラス・クレメントの夢とドラマが詰まった名前が付いているボトルです。
味わいと飲み方
ローランドの特徴である3回蒸留しており、全体的にライトでパイナップル、バナナを感じるフルーティな香りを強く感じます。
味わいは新鮮なモルト、バニラ、ハチミツ、シナモンを感じややオイリーです。フィニッシュはややタフィを感じます。
飲み方は、ストレート→トゥワイスアップ→ロックがおすすめです。
トゥワイスアップにするとバニラ、ハチミツはかなり抑えめになり、しっかりモルトを感じことができます。
Balcomie(バルコミー)
バルコミーはオロロソシェリー樽熟成させたボトルになっています。
味わいと飲み方
バルコミーも全体的にライトでパイナップル、レーズン、ナッツを感じることができます。
パイナップルからシェリー樽特有のレーズンやナッティな香りの変化が非常に楽しいウイスキーだなと思いました。
味わいは新鮮なモルト、レーズン、ビター、シナモンを感じることができます。ドッシリとしてシェリーではなく、また軽すぎないシェリーでもなく非常にバランスの取れた味わいになっており、完成度の高いウイスキーだなと思いました。
シェリーが苦手ではなければ、是非バルコミーからお試しください。
飲み方はストレート→ロック→ハイボールがおすすめです。
まとめ
キングスバーンズはまだまだ若い蒸留所ですが、若い蒸留所には歴史や伝統に左右されない大きな挑戦ができる蒸留所として期待値が大きいと感じました。
ハイランドのように強い個性はというよりも新鮮なフルーティなウイスキーが特徴なのでウイスキー入門にも是非オススメしたいボトルでした。