イチローズモルトは肥土伊知郎(あくといちろう)さんが株式会社ベンチャーウイスキーを2004年に創業し、2008年に埼玉県の秩父で秩父蒸留所が創設されました。
世界で最も権威のある品評会と言われる、ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2021で5年連続で最高賞を獲得しています。
創業者である肥土伊知郎(あくといちろう)さんはサントリー出身で、実家では古くから続く酒蔵でイチローズモルトの原酒が製造されていましたが事業譲渡により原酒の破棄が予定されていました。
ブレンデッドウイスキーの山桜(YAMAZAKURA)を作っている福島の笹の川酒造の協力の下で、原酒保管が可能となり、無名であったイチローズモルトは2005年から地道な営業活動により完売しました。
2008年には秩父蒸留所、2018年にはほど近いところに第二の蒸留所を稼働させて生産量を拡大しています。
しかし、それでもスコッチウイスキーのグレンリベットの年間生産量の2日分程度なのです。
ウイスキーの歴史からみると駆け出しですが、その苦労と努力から世界のウイスキー界では注目され続け、入手難易度が高いウイスキーとなっています。
目次
イチローズモルトの特徴
熟成環境
イチローズモルトの蒸留所は埼玉県の秩父にあり、肥土伊知郎(あくといちろう)さんの先祖である肥土家が代々、酒造りをしてきた事や高温多湿で冬場は氷点下になるなどウイスキーの熟成を早める効果があるとされこの地でウイスキー作りをはじめました。
実はこのような環境はウイスキーの本場であるスコットランドと非常に似ている環境なのです。
スコットランドでは熟成にオークで作られた樽を利用することが決められており、アメリカのバーボン樽やスペインなどのワインやシェリー樽を輸入して熟成しています。
イチローズモルトでは北海道のミズナラを利用していますが、ミズナラでの熟成は液漏れが発生しやすく熟成に向いていないとされており、樽作りには高度な技術が必要とされています。
シーバスリーガル ミズナラも日本の職人によってミズナラ樽を造ってもらうほどです。
ミズナラ樽はジャパニーズウイスキーの代表格である山崎やブレンデットウイスキーのシーバスリーガル ミズナラでも利用されています。
蒸留環境
ウイスキーの蒸留はポットスチルで味わいに大きな影響をもたらします。
中でもスコットランドにあるフォーサイス社のポットスチルはマッカランや白州でも利用されており、フォーサイスのポットスチルなしでは現在の殆どのウイスキーは誕生してなかったとも言われています。
イチローズモルトはフォーサイスのポットスチルを輸入し蒸留しています。
このように一貫して国内で蒸留、熟成させる事でその土地の風土がウイスキーに移り、イチローズモルトだけのウイスキーが出来上がっています。
また発酵槽にもミズナラを利用しており、世界ではイチローズモルトだけとされています。
イチローズモルトの入手方法
イチローズモルトは入手困難なケースも多いですが、価格帯は6500円程度が平均でしょう。
毎年開催される秩父ウイスキー祭りではイチローズモルトが抽選販売されることがあります。
https://www.chichibuwhiskymatsuri.jp/
また、山梨のスーパーやコンビニなどで販売されている事も多いようなので秩父の近くに行く際は立ち寄ってみてください!
イチローズモルト
イチローズモルトは入手が困難なウイスキーも多いためここでは一部をご紹介します。
モルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー(ホワイトラベル)
イチローズモルトの定番商品がホワイトラベルです。
秩父蒸留所の原酒と世界9つのモルト原酒、2つのグレーンウイスキーをブレンドしたブレンデットウイスキーです。
味わいは芳醇な若いモルト、やや柑橘系、バニラ、ややスパイシーが広がります。
ハイボールにするとバニラやスパイシー感は控えめになり、フルーティなハイボールになり和食などにも合わせやすいでしょう。
定価は3000円後半で販売されています。
リーフシリーズ
ミズナラウッドリザーブ(MWR)、ダブルディスティラリーズ、ワインウッドリザーブ(WWR)は2000年に蒸留を停止した羽生蒸留所の原酒と秩父蒸留所の原酒をブレンドし、モルトと樽構成を変えたシリーズが販売されています。
リーフシリーズはモルト100%のブレンデッドモルト、ノンチルフィルタード、ノンカラーのシリーズとなります。
どれも定価6000円後半で販売されています。
ダブルディスティラリーズ
シェリー樽原酒とミズナラ原酒を使用したのがダブルディスティラリーズ(2つの蒸留所)。
味わいはミズナラ特有のお香や線香に近い白檀(びゃくだん)、後からシェリー特有のドライフルーツが広がります。どちらも主張は穏やかでロックにすると、徐々にドライフルーツが強くなっていく変化を楽しむことができます。
ミズナラウッドリザーブ(MWR)
ピーテッドモルトを使用し、スモーキーな味わいを強くした銘柄となります。
力強いピーティ感ではなく、フルーティな甘さのあとにピート特有のヨード香が複雑に広がります。
ワインウッドリザーブ(WWR)
秩父がある山梨にはぶどうやワインの名所である勝沼もあり、勝沼のワイナリーで熟成された赤ワイン樽が利用されています。
まとめ
イチローズモルトは品薄状態が続いており(ホワイトラベルは復活しつつあります)、出会えたらラッキーなウイスキーですが、イチローズモルトを取り扱っているバーも多くあるのでこの機会にバーに足を運んでみるのもいいかもしれませんね。
ちなみに蒸留所見学は一般向けには開放されいないので秩父に行く際はご注意ください。