ウイスキーの種類は原料と地域の違いで、名称が異なりそれぞれ違ったウイスキーの特徴があります。
種類や特徴を知ることでよりウイスキーを好きになれるきっかけになります。
目次
ウイスキーの種類
シングルモルトウイスキー
- 原料:大麦(モルト)のみ
- 特徴:個性が強く、その個性の強さから好みのウイスキーを探す楽しみがあり愛好家から親しまれている
1つの蒸留所で大麦(モルト)のみで作られたウイスキーがシングルモルトウイスキーです。
特徴としては香りやテイストが複雑で蒸留所によって大きく違いが出やすく個性の強いウイスキーです。
製造過程の特徴から大量生産が難しいため価格帯も高くなる傾向にあります。
販売される際は同じ蒸留所で熟成年数が異なるシングルモルトウイスキーを複数混ぜ合わせる(ヴァッティング)事で味と品質を安定化させる事が多く、その際に一番熟成年数が低いウイスキーの年数をラベルの年数として表示します。
山崎12年と15年をヴァッティングさせた場合は山崎12年として販売されます。
ジャパニーズウイスキーのシングルモルトだと山崎、白州がよく知られています。
ブレンデッドウイスキー
- 原料:大麦(モルト)やトウモロコシ、穀物など
- 特徴:個性は控えめな事が多く、価格帯も抑えめ
日本では居酒屋などでハイボールとして飲まれるのがブレンデッドウイスキーではないでしょうか。
サントリーの角などはブレンデッドウイスキーの代表でしょう。
ブレンデッドウイスキーはモルトやグレーン(トウモロコシや穀物)をブレンドして作られます。
シングルモルトの特有の癖などが少なく、比較的個性は少なめな事が多いですが多くのブレンデッドウイスキーの種類は多く安価な事が多いため、ウイスキー入門としておすすめな種類です。
ブレンデッドモルトウイスキー、ピュアモルトウイスキー
- 原料:大麦(モルト)のみ
- 特徴:個性は控えめから強いものまで様々
ブレンデッドモルトウイスキーは国内外問わずに異なる蒸留所のシングルモルトをブレンドさせたウイスキーです。
異なるシングルモルトを混ぜ合わせる(ヴァッティング、ブレンド)事で様々な味の表現が可能になります。
ピュアモルトは現在では殆ど日本でしか使われていない表記ですが、ブレンデッドモルトが世界的にはスタンダードな表現なためブレンデッドモルトとして覚えていても問題ありません。
ピュアモルトとしては竹鶴などがあります。
シングルグレーンウイスキー(グレーンウイスキー)
- 原料:トウモロコシや小麦など穀物のみ
- 特徴:癖が少なく甘さが強いウイスキー、ブレンデッドウイスキーのもとになる事が多く流通量は少ない
シングルグレーンウイスキーはとうもろこし、小麦、ライ麦などの穀物のみで作られたウイスキーがシングルグレーンウイスキーです。
グレーンウイスキーとして表現されることが多いです。
発酵の過程で麦芽が必要になるため、グレーンウイスキーでも原料として麦芽が表記されている事があります。
グレーンウイスキーはブレンデッドウイスキーの原料として利用されることが多いため、グレーンウイスキー単体で市場に出回る事は殆どありません。
グレーンウイスキーの特徴は癖が少なく、甘いテイスト、香り、アルコール感も抑えめな事が特徴です。
日本では知多、富士がよく知られており、キャメロンブリッジ、ストラスクライド、インバーゴードン、ロッホローモンドからもグレーンウイスキーが生産されています。
ブランデーはウイスキー?
ブランデーもウイスキーと殆ど同じ製造工程で作られます。
違いは原料が白ブドウやリンゴなどの果実から作られ、芳醇なで味わいが特徴です。
ブランデーはグラスを手で温めながら、香りをじっくり楽しむ事が多いため、基本的にはストレートで握りやすいブランデーグラスを利用します。
代表的なブランデーはV.S.O.Pやコニャックでしょう。
5大ウイスキーの紹介
スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5カ国がウイスキー生産国として広く知られています。
国よって製造方法に法規制があったり、熟成する樽に違いがあり様々な特徴があります。
5大ウイスキーと原料の違い
生産国 | ウイスキーの種類 | 原料 |
日本 | ・モルトウイスキー ・グレーンウイスキー | ・モルト ・トウモロコシ、ライ麦、モルト、その他 |
スコットランド | ・モルトウイスキー ・グレーンウイスキー | ・モルト ・トウモロコシ、大麦、小麦、モルト、その他 |
アイルランド | ・ポッチスチルウイスキー ・モルトウイスキー ・グレーンウイスキー | ・モルト、大麦、未発芽の大麦 ・モルト ・トウモロコシ、大麦、小麦、モルト、その他 |
アメリカ | ・バーボンウイスキー ・ライウイスキー ・コーンウイスキー | ・51%以上のトウモロコシ、小麦、モルト、その他 ・51%以上のライ麦、小麦、モルト、その他 ・80%以上のトウモロコシ、モルト、その他 |
カナダ | ・フレーバリングウイスキー ・ベースウイスキー | ・トウモロコシ、ライ麦、モルト、その他 ・トウモロコシ、ライ麦、その他 |
バーボンウイスキー、テネシーウイスキー(アメリカンウイスキー)
- 生産国:アメリカ
- 原料:トウモロコシが51%以上、その他の穀物やモルト
- 特徴:甘く、香りも高い、癖が少なく飲みやすい
バーボンはアメリカで作られるウイスキーで、トウモロコシを51%以上、その他はライ麦、小麦、モルトなどが利用されており甘く、癖のない少ないウイスキーが特徴です。
大量生産する事ができ価格帯も抑えめなため、居酒屋などでハイボールとして提供されることも多く馴染み深いウイスキーではないでしょうか。
アメリカで作られるウイスキーとしてはもう1種類あり、それはテネシーウイスキーです。
テネシーウイスキーはバーボンと違った独自の条件があるため愛好家の間では区別されますがテネシーウイスキーはジャックダニエルが代表格で殆ど種類がありません。
バーボンの代表格はジムビーム、メーカーズマーク、フォアローゼズ、I.Wハーパーなどがあります。
スコッチウイスキー
- 生産国:スコットランド
- 原料:制限なし
- 特徴:ピート(泥炭)が使われることが多い
スコットランドは密造酒の時代からウイスキーの歴史を牽引してきました。
スコットランドで蒸留されるウイスキーをスコッチと言われ、製造過程で石炭の一種であるピート(泥炭)を利用するためウイスキーにピートの香りが移り独特な香味や味わいがあります。
ピートと言っても産出される地域で様々な香りがあり、スモーキーな煙たさが強いのがスコットランドのアイラ島で蒸留されるウイスキーです。
アイリッシュウイスキー
- 生産国:アイルランド
- 原料:制限なし
- 特徴:独自の蒸留方法で甘く、フローラル
スコットランドのお隣であるアイルランドもウイスキーの歴史が古く、蒸留が盛んに行われていました。
スコッチとの違いはピートを基本的に使わないことと、複数回蒸留を繰り返すため癖の少ない甘く、フローラルなウイスキーが特徴です。
村上春樹が愛したウイスキーもアイリッシュウイスキーです。
カナディアンウイスキー
- 生産国:カナダ
- 原料:穀物のみ
- 特徴:甘く、フローラルだが様々な香りがある
カナディアンウイスキーはアメリカが禁酒法の時代に大きく生産数を伸ばし、生産数ではスコットランドの次の多いとされています。
カナディアンウイスキーはアイリッシュウイスキーとバーボンの間のような位置づけで、小麦が使われることもあるため味わいは甘くフローラルでパンケーキのような味わいがすることもあります。
またフレーバーを加味する事が可能なため味付けの自由度高く、パイナップルの香りがするウイスキーなどもあります。
ジャパニーズウイスキー
- 生産国:日本
- 原料:制限なし
- 特徴:様々なバリエーションがあり一定ではない
ジャパニーズウイスキーは5大ウイスキーの中で唯一、法規制がないウイスキーです。竹鶴政孝(マッサン)がスコットランドでウイスキーを学び、日本に持ち込んだ事でジャパニーズウイスキーは誕生しました。
そのため、製法自体はスコットランドと非常に似ていますが、日本ではピートが産出されずらい事や第二次世界大戦の輸入制限などで独自の樽を使わざる得なかった事から独特な風味を生み出すきっかけになったとされています。
ブレンデッドからシングルモルトまで様々な種類があり、国内においても様々味わいのウイスキーがあります。